仏画家クロード・モネ(1840~1926年)は代表作として自宅の庭園の池に浮かぶ睡蓮(すいれん)を描いた連作を残す。その水面(みなも)が揺れ、ピチャッと音が聞こえてくる…◆「印象派」の芸術作品を鑑賞するのではなく、それに“没入”する「Immersive Museum(イマーシブ ミュージアム) OSAKA」を体験した。印象派の世界を映像化したものを広々とした会場の四方と床面に投影し、幻想的な音楽とともに来場者を包み込む◆モネが見たであろうフランスのルアーブル港をCG技術を用いて実際の絵画作品と融合させたシーン1に始まり、人通りの多いパリの街角を抜けて第1回印象派展の会場へ。実寸の絵画を鑑賞し、その筆遣いや絵の具の重なりなどを迫力の映像で“体感”◆先のモネの「睡蓮」のシーンでは、モネが暮らす自宅の庭に迷い込んだかのようで、光や風、池の水の冷たさを感じた。ほか、モネが捉えようとした光の移ろいの再現、各画家の表現手法の違いなど全8シーンから成る◆壁に近づいたり、クッションに座ったり、動作や姿勢でも感じ方が変わる。さらに、天井にも投影して360度包まれたら、ラヴェルやドビュッシーら印象主義の作曲家の音楽も流れてきたら、と欲は尽きない。堂島リバーフォーラムで9月6日まで。(斎)