“街”に見立てた館内の一画で、市民団体らが講習会や製作体験ブースを運営する近鉄百貨店本店の取り組み「縁活(エンカツ)」が10周年を迎え、記念式典が大阪市阿倍野区の同店であった。新たな集客戦略として始めたユニークな企画で、近鉄の関係者は「商品以外の部分で地域とつながる場が必要だと考えた。縁活が来店のきっかけになった人も多いのでは」と手応えをにじませた。
縁活は「あべのハルカス」に入居する本店が先行開業した2013年にスタート。現在、約390の市民団体、学生から高齢者まで約160人のボランティアスタッフの手で展開している。
6月9日の式典では、同店幹部や参加団体の関係者らが出席し、テープカット。近鉄百貨店の千原昌和専務(本店長)が謝意を述べ、「これからの10年も『社会をちょっとよくする』活動がますます盛り上がれば」と今後に期待を寄せた。
これまで型染めや性格診断、ハーブティーの講習会など多岐にわたるプログラムを約4600回実施し、延べ約18万人が来店。マスキングテープ店を手がける中森恵さん(49)は「出展したことで存在を知ってもらえるようになった。作る楽しみをもっと感じてほしい」と喜んでいた。