ミナミやキタの繁華街、大阪城、通天閣などはインバウンド（訪日客）に人気の観光地として知られるが、大阪で暮らすわれわれにとっても決して無縁ではない◆３０年以上前から小学校の写生会といえば大阪城。絵の具１色ではとても表せない瓦や複雑に積み重なった石垣は、今でも目にするとため息が出そうになる。当時なかったスカイビルの空中庭園展望台も、今では子どもらの遠足の定番スポットとして親しまれる◆同じ施設であっても日々進化している。現在の２代目通天閣は、２０１３年に地下歌謡劇場跡地に「通天閣わくわくランド」がオープンし、地下フロアからの入場に変更された。屋外型の新展望台ができたのは１５年。コロナ禍で客足が遠のき苦戦を強いられる中、昨年には滑り台を新設して話題を集めた◆節分の豆まきや干支（えと）の引き継ぎ式、ビリケンさんの祈願イベントなど取材の思い出は数え切れない。住民からの熱烈な情報提供がきっかけで、怪しげなマジシャンや劇団員、演歌歌手を相手に雑談８割の取材に苦戦したのは、通天閣下の喫茶店だった◆今日７月３日は、１９１２（明治４５）年に初代通天閣が完成した日と知り、そんな懐かしの場面が頭に浮かんだ。あなたの思い出スポットはどこですか？（北）
潮騒 ２０２３．７．３
