大学で「時事問題研究」や「国際関係論」の授業を担当していると、ロシア政権内部で、民間軍事会社「ワグネル」を率いるプリゴジン氏のプーチン大統領に対する反乱もどきの動きが気になった◆専制政治体制の国は反対派を徹底して締め付ける。場合によっては謀殺も辞さない。逆に政権内部では重臣たちに卑屈な“ご寵愛(ちょうあい)合戦”を演じさせ、トップはニヤニヤとその痴態を冷笑する。それだけにプリゴジン氏が本気でモスクワに攻め上ろうとした時は、プーチン大統領も一瞬肝を冷やした事だろう◆かつてロシア外交官に友人がいて熱心に「対米依存オンリー外交の危険性」を説かれた。「外交は自国有利に運ぶため常にしたたかに。露中や北朝鮮ともうまくやって、米国にプレッシャーを与えないと」と全方位外交の重要性を力説された◆北方四島の一部でも返還される期待を抱き、プーチン大統領と蜜月だったはずの安倍元総理もコロッとだまされたぐらいだから、この隣国はどこまでもしたたかで油断できない◆今夜は7日で七夕。私の通うスポーツジムのササには「世界が平和でありますように」との短冊があった。皆の願いは同じだが、良識を基にした素直な願望だけで相互理解が果たされるほど国際情勢は甘くない。(畑)