家族や故郷へ思い込め ユリア、地元大阪で熱唱

 大正区で生まれ育ったシンガー・ソングライター、ユリアが昨秋発売した6曲入りアルバム「宝物」の曲を中心とした5曲を、アメリカ村ライブハウスBIGCATで催された「大阪発・流行歌ライブ」で熱唱。コロナ禍で久々に約200人の観客の前で歌とトークを繰り広げた。実は20年のキャリアを持つ彼女の素顔に迫った。

 ユリアのそばでプロデュースを担当しているのが、同じシンガー・ソングライターの水瀬あやこだ。彼女はユリアと始めてあった日の事を忘れていない。4年前、和歌山白浜でのライブ会場での事。その場にいる誰もが笑顔になるような優しい歌声のユリア。水瀬は「ちゃんとしたコやなぁ」と思わずつぶやいた。ユリアの歌に対して真正面から向き合う気持ちと、歌を愛する深い心に魂を突き動かされた。

 以来、2人の二人三脚が始まる。元々、祖母の影響で民謡や歌謡曲を幼い頃から歌い覚えていたユリアが最初にメジャー会社からCDデビューしたのは高校生だった2004年だからもう20年も前になる。しかし、家族の介護などでいったんは歌の世界を離れ、20代は全く一般人として過ごした。5年前からライブ活動を再開。自身で作詞したオリジナル曲「コイツツジ」を発表。1昨年から水瀬も協力して2人で作詞作曲をしたものを中心に、新たな曲を次々とネット配信。これがレコード会社プロデューサーの目に止まり再デビューの誘いがもたらされた。2曲入りCD発売が定番だが、多くのオリジナル曲の中から2人で選んだ6曲入りCDで再デビューという異例の展開に。

 ユリアは「メインの“宝物”は人生の師である祖母への思いを自分の言葉でつづった。“コイツツジ”と“大阪ノスタルジー”“冬花火”は私の故郷・大阪をテーマにして、くじけず生きてきた証し。聞いてくれる方に何かが伝われば」と懸命にステージに立つ。

 舞台袖でジッと聞き入っていた水瀬は「このアルバムは“聞いてもらえばユリアが分かる”と自信持っています、全部が彼女自身で2曲だけに絞りきれなかった。コロナ規制が少しずつ緩んで、人前で歌う回数が増えて彼女も少しずつ緊張がほぐれてきた。あの姿自体も魅力の一つですから」と手応えを感じている。

 ユリアがトークでお手本にしているのは、小学生時代から大好きな吉本新喜劇。「ボケとツッコミがあって、お客さんに緩急を提供しているのがすごい。私はまだガチガチ。お客さんを笑顔にさせるところまで行ってない。もう少しトークにメリハリを付けたい」と反省しきり。

 ライブ終了後、CD即売会では額に汗をにじませながら色紙にサインする。まだファンと受け答えしながらペンを走らせる余裕はない。同じ大阪出身の水瀬は「彼女を見ていると“よしっ、私ももっと頑張ろう!”という気になる」と思わずほほ笑んだ。

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