万が一、黒塗りだらけの文書が出てきたとしたら、文書の中に不都合な内容が記されていると考えざるを得なくなる。カジノを中心とした統合型リゾート施設(IR)の大阪誘致に関し、大阪港湾局がこれまで「不存在」と回答していたにもかかわらず、新たに見つかったメール198通のことだ◆IR用地の賃料を決めるのに必要な不動産鑑定に関するメールで、担当職員が情報公開請求後に大半を削除していた。港湾局は3日、「公文書に当たるという認識がなく、対応は不適切だった」と陳謝している◆IR用地の鑑定を巡っては、大阪市が鑑定を依頼した4社中3社で評価額が一致。IR誘致を考慮せずに鑑定していたため事業者優遇ではないかという声が上がり、市議会でも質疑があった。4月には「賃料が著しく安い」として、市民グループが契約差し止めを求める住民訴訟を起こしている◆大阪市は見つかったメールを確認しても「これまでの説明と齟齬(そご)はない」とし、市から鑑定業者への「IRを考慮外」とする指示は否定◆しかし、情報公開請求後のメール削除については市議会でも疑念の声が相次いだ。港湾局は鑑定業者と調整して公開するとしているが、黒塗りだらけの文書では、市民の納得は得られない。(木)