上方寄席囃子(ばやし)三味線の第一人者で、独りで女道楽師(女性漫談)としても活動する内海英華(63)が芸歴45周年記念の「このほど、英華びより」(9月9日、心斎橋PARCO・SPACE14)を開催する。
芸歴同期の上方落語家、桂米団治(64)も出演する「ひるの部」(午後2時)は、得意の女道楽をはじめ、寄席の舞台裏を再現した自身の三味線演奏や芝居仕立てで再現する「ある寄席のいち日『暖簾(のれん)の内と外』」。「よるの部」(同6時)は一転してお囃子ジャズをメインにした「内海英華with宗清洋と粋~てすとさうんど」で、三味線とジャズの不思議なコラボを実現させ6、7曲を生演奏で披露する予定。
1978年、上方講談の3代目旭堂南陵(2005年、88歳で死去)に入門し、高校生講談師・旭堂南蝶として芸歴をスタート。その後「おんな放談」の吾妻ひな子(1980年、56歳で死去)にあこがれ、漫才師の内海カッパ(2008年、66歳で死去)に師事。比較的遅い22歳から三味線を始めた。
「45周年は、私の中では通過地点。半世紀50年となると、自分で“よくやった、お疲れさん”と褒めてあげたいが、まだそんなに年がたった気分もなく、もうちょっといろんなことをしていたい」とひょうひょう。12年には「文化庁芸術祭賞大賞」を受賞している。
演者と裏方の二刀流について「舞台の人間の気持ちと、袖(そで)の人間の気持ちの両方が分かるのは東西合わせても私だけ」と話し、女道楽の継承については苦笑しながら「誰も“教えて”と、言ってこない」と吐露。真顔で「若い人に席を譲る気はございません」と生涯現役を宣言。