近畿大学生物理工学部(和歌山県紀の川市)は、下水処理水を液体肥料として利用し、サツマイモの生産量を全国平均の約10倍に増やすことに成功した。
この研究は近畿大と「日本下水道事業団東海総合事務所」(名古屋市)、「ウォーターエージェンシー」(静岡県浜松市)の3者で実施。これまでもサツマイモを大量生産する方法の開発に取り組んできたが、今回は処理した下水を液体肥料として利用。サツマイモの苗を植えたポットを3段に並べ、昨年6月から11月まで160日間、下水処理水を供給して栽培したところ、葉が大量に増殖し、サツマイモの収量は19・5キロ/平方メートルとなった。
また、冬場でも水温を15℃以上に保って処理下水を供給したところ、越冬栽培に成功し、8・4キロ/平方メートルを収穫。年間生産量は25・3キロ/平方メートルとなり、通常農法の全国平均2・4キロ/平方メートルの約10倍の収穫に成功した。
今回の研究論文「サツマイモ多層栽培における下水処理水供給が葉の発達と塊根の収量に及ぼす影響」は、園芸植物に関する国際誌「Horiculturae」に掲載された。