「ホーム」の意味に迫る 国立国際美術館で特別展 心のよりどころを再構築

 国立国際美術館(大阪市北区)は現代美術作家が考える“ホーム”を紹介する特別展「ホーム・スイート・ホーム」を行っている。歴史、記憶、アイデンティティー、居場所、役割などをキーワードに表現されたインスタレーションや絵画などが展示されている。9月10日まで。 

 ホームには生活する家屋、そこに集う家族、故郷、祖国などの意味がある。「ステイホーム」が叫ばれた新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的大流行)、新たな難民を生み出しているロシアによるウクライナ侵攻などで改めてホームについて思考を巡らす機会を設けた。

 ジョージア出身、ドイツ・ベルリン在住のアンドロ・ウェクアさんは、ロシアの侵略で故郷を追われた体験から、かつて居住し現在は戻ることができない家をモデルとした彫刻、家族ら親しい人をモチーフにした絵画などを展示。

 写真やドローイングの上に刺しゅうを施した布を重ねたインスタレーションや、壊れた食器や日用品を用いた「修復シリーズ」を発表する竹村京さんは、かつて祖父母が生活していた家を舞台として、新作のインスタレーションも披露する。

 日本のほか、韓国、台湾、ブラジルなどに建てられた日本家屋をリサーチする鎌田友介さんは、日本家屋の間取りを再現し、韓国で実際に家屋の一部に用いられていた部材や資料写真なども展示する。

 「心のよりどころとしてのホームをどう再構築していけばいいのか。多角的視点で考えていく」と島敦彦館長。学芸課長の植松由佳さんは「改めて、ホームがどういう意味をもっているのか、どういう存在なのか見てほしい」と話している。

 他に出品作家はマリア・ファーラさん、石原海さん、潘逸舟さん、ソンファン・キムさん(7月にスクリーニング&レクチャープログラムで参加)、リディア・ウラメンさん(8月にレクチャープログラムで参加し、作品の展示も行う)。

 地下3階展示室。午前10時~午後5時(金・土曜は8時)。月曜休館(17日は開館、18日は休館)。問い合わせは電話06(6447)4680、同館。

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