トマトやズッキーニをはじめ、南河内で採れた色とりどりの夏野菜を使ってテーブルに並べる。木のぬくもりが感じられ、四方から光が差し込む開放的な空間が料理を引き立てる。
「うちだけのオリジナルをつくりたかったんです」。大阪・美原にある木材団地の一画では、店長の杉本龍一シェフ(45)が爽やかな笑顔で出迎えてくれる。地元野菜が皿いっぱいにあふれる前菜や国産のまき窯で焼き上げるピザ、地元が普及に取り組む「古代米」を使ったリゾットも売りの一つだ。
オープンは2012年。次のステージを目指して17年に「新たな売りになるものを」と地元の特産をメニューに加え、時を同じくして杉本さんが店長に就任した。農家を行脚しつつ関係を築き上げ、「輪が広がっていくのが楽しかった。仕事が仕事でなくなるぐらい」に没頭していった。
以前、富田林の農園で試食した水ナスが忘れられない。自身は大阪・泉州出身で、水ナスには幼少から親しんできたが「リンゴのようなみずみずしさと甘み」に衝撃を受けた。以来、「塩と酢、オリーブオイルとあえるだけでめちゃくちゃおいしい」というお薦め食材として活用している。
店内では直売所も併設し、杉本さんは「地域に根ざした運営を目指した結果、人とのつながりが太くなった」と手応えをにじませる。今後は「『南河内』を『南大阪』に広げ、生産者さんとつながっていきたい」と意欲は尽きない。
オーナーの光山英和さんはプロ野球・近鉄などで活躍した元捕手。店内はかつてバッテリーを組んだ野茂英雄さんら野球関係者が贈った花でいっぱいだ。
昼は午前11時から午後3時半、夜は同5時から同10時。
杉本龍一店長(堺市美原区木材通4の1の16)