潮騒 2023.7.19

 2000年の今日、7月19日に2千円札が発行された。当時、沖縄で開かれたサミットを記念したもの。表には従来の肖像画ではなく、首里城の守礼門を描いた。初めて手にした時、珍しく、美しく感じたのを思い出す◆市中で見ることはほぼなくなった。03年以降は新たに作られず、今あるものが流通するだけとなった。昨年まで記者の財布にも1枚だけ入っていたが、ATMでの入金時に誤って他のお札とともに取り込まれてしまった◆その1枚は地元の知人から譲り受けたもの。沖縄では発行の経緯とデザインから他県と比較して数多くやりとりされている。記者の地元は沖縄にルーツを持つ人が多く暮らす土地柄で、2千円札と巡り合える確率が高かったのかもしれない◆先月日銀が、来年7月をメドに新紙幣を発行すると発表した。デザインの発表から随分経つが、いよいよ紙幣自体が入れ替わるまであと1年となった。でも2千円札は、それら新顔に含まれていない◆これ幸いと受け止めよう。現行紙幣が流通し続ける。首里城では、紙幣に描かれた守礼門は無事だったが、正殿などが19年に焼失し、26年秋の完成を目指して再建が進む。その頃までには、また2千円札にお目にかかれるだろうか。偶然の出合いに期待する。(岡)

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