開業か撤退か、判断は2カ月後に-。大阪府・市が誘致を進めるカジノを含む統合型リゾート施設(IR)に関し、IR事業者側から待ったがかかった。政府は4月に整備計画を認定。事業者が開業するかどうかの最終判断の期限が7月13日だったが、9月末まで延長した◆なぜ延長したのか。府市は政府の認定が想定より半年ほど遅れたことで開業時期などの再調整が必要とするが、認定から最終判断まで約3カ月あった上、これまでも開業時期の議論はしてきたはず◆気になるのは、大阪市が負担する夢洲(ゆめしま)の土地改良費788億円だ。大阪市の預金にあたる財政調整基金の約3分の1に相当する巨額の債務負担だが、ここには夢洲で恒常的に起こっている地盤沈下対策が含まれていない◆市の担当者は議会で「市が使用した埋め立て剤が原因で通常の想定を著しく上回る大規模な地盤沈下や陥没が生じた場合を除いて市が費用負担を行わないことを前提としている」とし、事業者側は「過去の沈下計測のデータが不足しており、今後の調査結果により、課題が出てきた場合は対応を見極める必要がある」とかみ合っていない◆地盤沈下費用は誰が負担するのか。「前提」が崩れたのなら、市の負担は底なしになる可能性がある。(木)