鳥取県東中部に記録的な大雨をもたらした台風7号の猛威から一夜明けた16日、県内の被害状況が徐々に明らかになった。崩落などによる道路の寸断で一時、最大1800人が孤立状態に陥ったが、同日午後8時までに287人となっている。上下水道など公共施設の破損も相次ぐなど、各地の爪痕があらわになった。
県によると16日午後8時現在、国道482号線(鳥取市用瀬町別府-佐治町栃原)、県道鳥取鹿野倉吉線(同市鹿野町河内)など19カ所で、道路の一部陥没や土砂流出などによる全面通行止めが続いている。いずれも復旧時期は未定。孤立は迂回(うかい)路の開通などで一部解消され、鳥取市の佐治町(62世帯、112人)▽鹿野町河内周辺(80世帯153人)▽安蔵(7世帯15人)▽河原町北村(3世帯5人)-のほか、八頭町姫路(2世帯2人)となった。
土砂崩れなどによる上下水道の配管の破損も発生した。鳥取市の佐治町高山、加瀬木など5地区で計386戸、河原町中井周辺の108戸、八頭町でも下峰寺地区の36戸と落岩地区の10戸が断水し、一部で汚水の漏出が確認された。ペットボトルの配布や給水車の配車などで対応している。
同市佐治町では、町内の高山橋、旧刈地橋が濁流に押し流されて崩落。住宅被害は倉吉市で床上浸水2軒、床下浸水14軒。智頭町で床下浸水3軒、三朝町は同2軒の被害が確認されている。倒木や設備の故障などにより、午後3時現在、鳥取市の佐治町内20戸、河原町内50戸で停電が続いている。
公共交通機関にも多大な影響が出た。16日はスーパーはくとなどが終日運休となり、普通列車は山陰線(浜坂-米子)、因美線のうち鳥取-智頭間、若桜鉄道が終日運転を見合わせた。路線バスは通行止めの影響を受け、8路線が折り返し運行した。
県と鳥取市は16日に合同で災害対策本部会議を開き、速やかな被害状況の把握と情報共有を確認した。平井伸治知事は「物資を運んだり、緊急の往来ができるレベルの仮復旧を急ぎ、生活や集落への影響を最小限にとどめる」と関係機関に対応を求めた。
鳥取市は甚大な被害の迅速な復旧に向け、羽場恭一副市長を本部長とする現地災害対策本部を佐治町総合支所に同日付で設置した。(福谷二月)
鳥取市佐治町、16日午前11時半ごろ
河内浄水場近くの県道281号が一部崩落=16日午後3時ごろ、鳥取市河内
台風7号の影響で崩落した道路。手前は佐治川=16日午前9時51分、鳥取市(共同通信社ヘリから)
台風7号の影響で崩落した橋。中央は佐治川=16日午前9時38分、鳥取市(共同通信社ヘリから)
鳥取市の土砂崩れ現場。手前は佐治川=16日午前9時51分(共同通信社ヘリから)
鳥取市の土砂崩れ現場。下は佐治川=16日午前9時46分(共同通信社ヘリから)
台風7号の影響で崩落した佐治川に架かる高山橋=16日午前9時47分、鳥取市佐治町(共同通信社ヘリから)
佐治郵便局前 国道482号が片側崩落 鳥取市佐治町高山、16日正午ごろ撮影
台風7号の影響で崩落した畑=16日午後0時34分、八頭町福地
そばを流れる私都川の増水で陥没した県道282号=16日午前10時50分、八頭町福地
道路に残る土砂を片付ける住民ら=16日午前10時39分、八頭町福地
佐治町余戸辺りの国道482号線
佐治町の一部で断水発生、給水活動(16日11時半ごろ撮影)
鳥取市槇原、午前7時ごろ
佐治小学校前(佐治町福園)
佐治町つく谷
佐治町高山
佐治町森坪~下加瀬木
佐治町津無
佐治町総合支所辺り(佐治町加瀬木)
佐治郵便局前(佐治町高山)