フライフィッシングの欧米での歴史は15世紀ごろから古書にその記述がみられる。フライと呼ばれるのは川面を流れるカゲロウなどの水生昆虫を捕食する魚の食性を利用したもので、それらの虫に見せかけた毛ばり(フライ)を流し、魚を釣ることからそう呼ばれた。
本州では、対象魚のサイズにも限界があるが、北海道や外国に遠征すると「生涯の一尾」に出会える確率がグーンと高くなる。
そこまで行くなら
三十年来の釣友でこの釣りにハマっているEさんは、札幌に行く用件ができた。札幌まで行くなら「そこまで行くならついでに」と考えるのは、ジャンルを問わず重症釣り師の共通症状だ。
釣行初日、ガイドとその知人に案内され十勝川水系の空知川に入った。そのポイントは熊が頻繁に出る場所だったらしい。熊は伏せて待ち、人間が通り過ぎたら後ろから襲うので、先頭にガイド、次にEさん、後尾にガイドの知人と列を作って移動したらしい。
「この日は水生昆虫の羽化が始まっており条件が整っていました」
ガイドの指示通り対岸の樹木が生い茂るギリギリにドライフライをキャストしたという。「出た!」。水面を割ってフライに食いついたレインボートラウトは手計測で60センチ超は確実にありそうな立派な魚。「国内の釣りでこんなに興奮したことはありませんでした」と、Eさん。
この人「ついでに釣り」なのか、あやしいでんなぁ。