東京都中央区の日本橋蛎殻町と日本橋人形町は、安産の御利益で知られる水天宮や活気のある商店街でにぎわう街だ。参拝客や地元の人たちに愛されるユニークな像を訪ね歩いた。(共同通信=近藤誠)
水天宮の境内には、母犬が愛情たっぷりに子犬を見つめる「子宝いぬ」の像がある。犬の頭部は変色していて、多くの参拝者になでられたことが分かる。像の周りにある十二支のうち、自分の干支をなでると安産や子授けなどの御利益があるという。
水天宮の総本宮は福岡県久留米市にあり、1818年に久留米藩主の有馬頼徳が、現在の東京都港区にあった久留米藩上屋敷内に分社を創建した。現地に移転してきたのは明治維新後の72年だ。
毎月5日に限って庶民にも参拝を許したことから、その情け深さをたたえて「なさけありまの水天宮」という地口(言葉遊び)が生まれた。有馬氏については「湯も水も火の見も有馬の名が高し」との地口もある。
日本橋人形町のシンボルは大きなからくり櫓。午前11時から午後7時まで1時間おきに、からくりによる小話などが上演され、人形町の由来や江戸時代の町人たちの暮らしを紹介している。
江戸時代に人形浄瑠璃や歌舞伎の小屋があり、...