【逍遥の記(13)】見る場所によって異なる相貌を見せるガラス素材のアート作品

東京都庭園美術館の瀟洒な空間に負けない輝き放つ

  •  「フィンランド・グラスアート 輝きと彩りのモダンデザイン」の展示風景=東京都庭園美術館
  •  グンネル・ニューマン「カラー」(1946年、リーヒマキ・ガラス製作所)
  •  タピオ・ヴィルッカラ「杏茸」(1946年、イッタラ・ガラス製作所)
  •  ティモ・サルパネヴァ「眠れる鳥(黒い鳥)」(1996年、ヌータヤルヴィ・ガラス製作所)
  •  「フィンランド・グラスアート 輝きと彩りのモダンデザイン」の展示風景=東京都庭園美術館

 あまりに暑い日が続くので、涼しげなガラス素材のアート作品が見たくなった。しかも、それらがアール・デコ様式の建物の中でどんなふうに並べられているのか―。

 東京都庭園美術館で開催中の「フィンランド・グラスアート 輝きと彩りのモダンデザイン」(9月3日まで)に足を運ぶと、広大な森や湖といった豊かな自然を有するフィンランドのアーティストたちが、いかにガラスという素材と向き合い、職人と協働し、風土を反映した作品を作ってきたのかが伝わってきた。個性的でありつつ、どこかに自然との調和や融合を感じさせる作品の数々は、見る場所、見る角度によって異なる相貌を見せる。旧朝香宮邸の瀟洒な空間に負けない輝きを放っていて、いつまで眺めていても飽きない。

 ■どんな花を生けようか

 フィンランドが大国ロシアから独立したのは1917年。人々が自らのアイデンティティーと誇りを取り戻していくために、ガラス産業やグラスアートの存在は小さくなかった。実用性を重視したガラス製品と、芸術性を前面に出した作品は、互いに影響を与え合いながら発展してきたようだ。本展は1930年代から現代に至る8組(1組の夫婦と7人)のデザイナー・作家に...

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