捕鯨問題を追い、初めて撮ったドキュメンタリー映画「ビハインド・ザ・コーヴ」(2015年)が話題となった八木景子監督。和歌山県でのイルカ追い込み漁を批判しアカデミー賞を受賞した米映画「ザ・コーヴ」(09年)公開後、反捕鯨活動家らが海外から押し寄せていた同県太地町などで地道に取材し、「反論」した。
それから8年。クジラの問題を追い続け完成させた最新作「鯨のレストラン」では鯨肉の魅力と科学的見地から問題提起を試みる。撮影知識もないままにカメラを手に現場を訪れ、二つの作品を完成させた八木さんの驚異の行動力の源と新作への思いを語ってもらった。
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新作「鯨のレストラン」では、東京の専門料理店「くじらのお宿 一乃谷(いちのたに)」にカメラを入れ、大将の人柄や鯨肉の味を紹介する。一方で、絶滅の恐れがある野生生物の国際取引を規制するワシントン条約の元事務局長や第2の国際捕鯨委員会(IWC)とも言われる北大西洋海産哺乳動物委員会(NAMMCO)事務局長、日本の研究者らが登場し、地球環境や食料問題の観点からクジラ論争をどうとらえているか意見を述べる。
「反捕鯨という問題は、...