縄文時代の土器片を掘り出して興奮 過去から手紙を受け取ったみたい

  •  藤岡みなみ
  •  縄文時代の集落跡「曽利遺跡」の発掘調査現場にあるトレンチ(大きな溝)の様子。土の色が変わったら住居跡らしい=筆者提供
  •  「曽利遺跡」から出土した人面香炉形土器=井戸尻考古館提供
  •  「曽利遺跡」の人面香炉形土器の背面。目玉や鼻孔とみられる穴がある=井戸尻考古館提供
  •  大きめの土器片が出てテンションが上がる筆者=筆者提供

 長年の夢がかなった。初めて縄文遺跡の発掘作業に参加させてもらったのだ。長野県富士見町の曽利遺跡。一緒に参加した縄文好きの人々は「曽利遺跡を掘れるなんて光栄すぎる。高校球児が甲子園に立つようなものだ」と鼻息荒く語っていた。

 誘ってくれたのは、縄文をテーマにしたフリーペーパー『縄文ZINE』編集長の望月昭秀さんだ。井戸尻考古館(同町)の皆さんと付き合いがあり、去年も発掘調査に参加したのだという。最高の夏だったらしい。私も縄文を好きになって約10年になる。あの躍るような文様の土器たちが実は煮炊きの道具などとして普段使いされていたと聞いて、使い勝手よりも装飾を優先するその合理的ではないところに豊かさを感じ引き込まれた。もしかしたらこの手でユニークな土器や土偶が発掘できるかもしれない。一も二もなく「行かせてください!」と返事をした。

 発掘調査の現場に到着すると、縦2メートル、横20メートル、深さ1メートルほどの大きな溝が2本並んでいた。この溝をトレンチと呼ぶらしい。調査する場所の地面を全て掘り起こすのではなく、エリアを限定して細長く削っていくのが意外だった。そこに何が埋まっているかを確認するこ...

残り 1232 文字
このページは会員限定コンテンツです。
会員登録すると続きをご覧いただけます。
無料会員に登録する
会員プランを見る
会員登録済みの方
この機能はプレミアム会員限定です。
クリップした記事でチェック!
あなただけのクリップした記事が作れます。
プレミアム会員に登録する ログインの方はこちら

トップニュース

同じカテゴリーの記事