第2次岸田再改造内閣が発足した。
首相を含む20人のうち女性は5人を占め、これは過去最多タイだそうだ。過去最多といっても女性は3割にも満たない。しかも、記者会見で女性閣僚登用の理由についてきかれた岸田首相は、「ぜひ女性ならではの感性や共感力を十分、発揮していただき…」と発言した。
全女性が持っている「女性ならでは」の特性があると考えることじたい、偏見にほかならない。たとえそれが肯定的な内容だったり相手をほめる意図があったりするにせよ、たとえば「○○民族ならではの身体能力」「○人ならではの美貌(びぼう)」と属性でひとくくりにする言い方は、現代の世の中では差別につながる決めつけと考えられているのだ。
このコラムでも何度かふれたが、これは「そんな固いことを言わなくてもいいじゃないか」「相手を称賛しただけなのになぜだめなのか」などという意見を、いまさら議論の俎上(そじょう)に載せる問題ではない。「ダメなものはダメ」と思った方がよいかもしれない。
それに、女性に期待するのが「感性や共感力」という具体性に欠けたものという点にも失望させられる。そもそも誰に対する「共感力」なのかもわからないが、もし...