食品製造を手がける香美町香住区下浜の合同会社「からふるパウダー」(吉川康治代表社員)が、傷があるなどの理由で廃棄される予定の二十世紀梨を材料とする缶詰「香住梨のたいたん」を開発した。梨の有効活用や農家の所得向上につながると期待されており、新商品を応援するクラウドファンディングサイト「Makuake(マクアケ)」で、10月18日まで予約販売を受け付けている。
吉川さん(38)は、香住区内の約3ヘクタールの果樹園で二十世紀梨を栽培。台風による落果などで、市場に出ることなく廃棄されていた梨の有効活用を考えていたところ、刻んだ梨を弱火で2~3時間炊き込んで保存食とする地元農家の知恵に着目。商品化できると見込んで、町内の水産加工会社の協力を得て開発にこぎつけた。
水や砂糖は加えず、梨が本来持つ水分と甘みを生かした。シャリシャリした食感は維持しており、リンゴのシロップ漬けに似た味わいとなっている。1個(90グラム)が432円(税込み)。3年間保存できる。
12月からは町内の土産物店や旅館などでも販売する予定。吉川さんは「この商品をきっかけに、香住区の廃棄梨をゼロにしたい。売り上げを農家に還元することで、生産意欲の向上にもつながれば」と話す。