世界大学ランキングに一喜一憂すべきではない理由

  •  茂木健一郎さん(撮影・佐藤優樹)
  •  タイムズ・ハイヤー・エデュケーション(THE)が発表した今年の「世界大学ランキング」。日本の大学が順位を上げた
  •  茂木健一郎さん(撮影・佐藤優樹)

 日本の大学がダメだから、留学せよという風潮があるが、賛同できない。国の発展、教育産業の将来を考えたら、日本の大学をこそもり立てるべきだろう。

 先日、英国メディアが主導している「世界大学ランキング」が発表され、東京大学、京都大学などの日本の大学が軒並み順位を上げた。共同通信の報道によると、新たに指標に加わった「特許への貢献度」で高評価を得たのだという。

 世界大学ランキングに一喜一憂するべきではない。一方で、そこに反映されている評価指標については、じっくりと考えてみるべきだろう。日本の大学で言えば、たとえば国際化とか、学生や教員のジェンダーのバランスなどは、より開かれた、バランスのある形に改善していけたらと思う。

 日本の大学が、よりよい教育、研究の場になるために努力して、結果として大学ランキングが上がるのは良い。そうではなくて、ランキングの数字を上げること自体が目標になってしまうのは、あまり良いことではないと考えられる。

 英国の経済学者チャールズ・グッドハートによって提案された「グッドハートの法則」は、「ある基準が目標になると、もはやそれは良い基準ではない」とする。たとえば、政策がうまく...

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