栃木県の県都・宇都宮市と東隣の芳賀町が整備した次世代型路面電車(LRT)の「宇都宮芳賀ライトレール線」が8月26日に開業した。市政担当として開業までの節目を取材してきた筆者は、今ほっと一息ついているが、過去の仕事を振り返り心残りなのは芳賀町のこと。「宇都宮市などが整備した…」の「など」のように、記事で町の存在を省略したことは一度や二度ではない。スポットライトを当ててこなかった町をこの身で体感しよう。そう思い立ち、真新しいLRT車両「ライトライン」に乗り込んだ。
開業から2週間余りとなる平日の昼間。JR宇都宮駅の東口に設けられた「宇都宮駅東口」停留場を訪ねると、乗り場は電車を待つ人で埋め尽くされていて開業の熱気は冷めない様子。混雑を避けようと次の電車に乗り込むも、50ある座席はほぼ満席だ。筆者を含め通路に立っている人も見渡す限りで30人以上いた。通勤通学の時間帯は終わっており、乗客は親子連れからお年寄りまでさまざま。「一度は乗ってみたい」というニーズを掘り起こしているようだ。
いよいよ出発したライトラインは、昨年11月の試運転中に起きた脱線事故の現場となった急カーブをゆっくり通過し、ビ...