先日の昼、数年ぶりに東京は銀座にある歌舞伎座へ芝居見物に出かけた。10月2日から25日までの「錦秋十月大歌舞伎」。私の行った昼の部の出し物が「天竺徳兵衛韓噺(てんじくとくべえいこくばなし)」と「文七元結物語(ぶんしちもっといものがたり)」だ。
どちらも落語に縁のある演目で、天竺徳兵衛の方は落語「蛙茶番(かわずちゃばん)」という、素人芝居ですったもんだが起きる滑稽噺の中で、町内の素人連中が使う演目。初めて本物のその演目を見られるというので、とても勉強になった。落語の中でちょっと出てくるだけでは、本物のガマが現れるシーンなどの迫力は想像ができない。想像を超えるダイナミックな演目だった!
そしてもう一つの演目「文七元結物語」。こちらは、ゆかりどころか幕末、明治に活躍した大名人・三遊亭円朝という師匠がお作りになった噺「文七元結」を基にしている。文七元結の他にも数多くの円朝作の落語が、現在も大事に後進に継がれている。それは、落語界を飛び越えて講談、浪曲、そして歌舞伎にまで影響を与え、落語という枠を超え、形を変えて残り続けている。
その「文七元結」、今回は山田洋次監督が脚本・演出を担当し、さらに...