コロナ前を上回り始めた外国人入国者数

  •  永浜利広(第一生命経済研究所首席エコノミスト)

 先週、出入国在留管理庁より9月の「出入国管理統計」が公表されました。これによれば、9月の外国人入国者数は225万人となり、2カ月連続で減少しました。ただ、外国人入国者数は8~9月にかけて減少する季節性があることには注意が必要です。

 そして、コロナ前の2019年9月との比較で見れば、今年9月は1.8%の増加に転じています。つまり、この結果は入国者数がコロナ前の水準を初めて上回ったことになることを意味しますので、インバウンドの回復傾向は続いていると判断できるでしょう。

 しかし、国別の入国者数を2019年9月と比較すると、コロナ前には最大勢力となっていた中国は半分強しか戻っていないことがわかります。中国と言えば、8月に日本への団体旅行が解禁されましたが、その後に原発処理水放出を受けて旅行キャンセルが相次いだことや、そもそも日本中国間の飛行機の直航便数自体がコロナ前に戻っていないこと等からすれば、中国人観光客が短期的にコロナ前に戻る可能性は低いでしょう。

 また、英国も2019年9月に比べて6割強しか戻っていません。しかし、この背景としては、2019年はラグビーワールドカップが日本で開催され、...

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