ひとまずサヨナラ国立演芸場!

  •  柳亭小痴楽

 東京都内にある寄席の中で一等厳かな雰囲気を醸し出している寄席小屋、それが天下の永田町にある国立演芸場だ。何が厳かなのか、それは建物の外観の立派さ、内装のキレイさもさることながら、何より立地である。元来寄席というものは、歓楽街や繁華街にお遊びに行く人々が、その前にちょっと笑って景気をつけて繰りこもうじゃないか、ということで、そういったお遊び場の近くに建てられてきた。

 浅草演芸ホールは簡単に言えば裏っ手に吉原があり、新宿末広亭は近くに歌舞伎町がある。池袋演芸場や上野の鈴本演芸場は、歓楽街の入り口にドンとある。一方で、国立演芸場の裏は最高裁判所である。あまり、最高裁判所への用事の前に景気をつけに行くこともないだろう…。そんな、独立行政法人「日本芸術文化振興会」が運営している国立演芸場が建てられたのが44年前。今年の10月末を持って閉館することになった。

 閉館といっても、数年後に新たに建て直すことになるそうなのだが、まだ今のところ、いつになるのか、どうなるのかが決まっていないようで、“ひとまずサヨナラ”という形で、10月14日から25日まで「未来へつなぐ国立劇場プロジェクト 初代国立演芸場さ...

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