エルサレム旧市街でかつて感じたこと 紛争解決に知恵を出し合おう

  •  茂木健一郎さん(撮影・徳丸篤史)
  •  エルサレム旧市街にあるユダヤ教聖地「嘆きの壁」。左上はイスラム教聖地「岩のドーム」=2017年1月(共同)
  •  イスラエル軍の空爆で負傷した子どもを運ぶパレスチナ人男性=10月26日、ガザ地区南部ハンユニス(ロイター=共同)
  •  茂木健一郎さん(撮影・徳丸篤史)

 世界の各地で紛争が起こっている。そのありさまを見るにつれ、イスラエルのエルサレム旧市街でかつて経験したこと、感じたことの大切さが思い出される。

 1990年代の後半、私はイギリスに留学していた。ある時、イスラエルで学会があり、私は初めてかの地を訪れた。

 エルサレム旧市街を歩くことは、驚きの連続だった。キリストが十字架を背負って歩いたとされる道の近くに、ユダヤ教にとって大切な「嘆きの壁」、そして「神殿の丘」があり、そこにイスラム教の聖地である「岩のドーム」と「アルアクサ・モスク」が建っていた。

 キリスト教、ユダヤ教、そしてイスラム教という主要な宗教の聖地が、まるで集積回路(IC)のように入り組んだ街。歩いているうちに、次々と全く違う世界に連れていかれた。キリスト教の聖地には、世界各地から信者たちが集まっていた。嘆きの壁では、「正統派」のユダヤ教徒の方々が思い思いに祈りをささげていた。神殿の丘にあるイスラム教の聖地を訪問した。簡素で美しい内部の様子から伝わってくる、偶像崇拝とかけ離れた精神性に感銘を受けた。

 宗教や文化は、対立の原因になることもある。考え方、感じ方の違いが根深い不信につなが...

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