高齢者の孤立を防ぐ手だてを 86歳立てこもりに思う

  •  香山リカ

 「人生百年時代」といわれるいま、80代、90代をどうすごすかが注目され、“高齢者の生き方本”も多数、出ている。その年代でも元気に働いている人や新しいことにチャレンジを始める人も少なくない。ただその一方で、経済苦や孤独にあえぐ超高齢者もいる。埼玉県蕨市の郵便局で起きた人質立てこもり事件の容疑者として逮捕された86歳の男性は、どんな生活を送っていたのだろうか。

 容疑者は蕨市の蕨郵便局に侵入し、拳銃のようなもので20代と30代の女性職員2人を人質にとり、立てこもった。その前、この男性が住んでいたアパートで火災が起き、近くにある戸田中央総合病院で発砲事件が発生して医師と患者の2人がケガをしたが、男性はそれらについても関与を認めているという。現時点でわかっている限りでは男性はひとり暮らしという。昨年10月には、男性と蕨郵便局の職員がバイク同士で接触する物損事故があったそうだ。もしかすると郵便局の対応や受診した病院の対応に不満があったのかもしれない。もちろん、だからといって発砲や立てこもりが許されるわけではないが、もし不満が事件のひきがねだったとしたら、それが小さなうちに話せる場所やともに問題解...

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