インドネシア東部にあるスンバ島を訪れた時のこと。美しいビーチをはじめとする豊かな自然で知られる観光地のはずだが、所々一般道に穴が開いていて車の乗り心地が非常に悪かった。インドネシア人の友人にその話をすると「あれ、そこはジョコ大統領がまだ行っていなかったっけ?」と言い出した。大統領が視察した地域なら、来訪に合わせて道路が補修されているはずというわけだ。
インドネシアは都市部でこそ軽量軌道交通(LRT)など鉄道の整備も進むが、基本的には車社会だ。東南アジア諸国連合(ASEAN)自動車連盟(AAF)によると、2022年における四輪車の新車販売台数は104万8040台で東南アジア主要6カ国トップ。二輪車も1億3000万台以上が普及しており、道路インフラの状況は市民生活に大きく影響する。
8月、ジャカルタにあるオフィス近くの大通りで舗装が全面的に張り替えられた。一部を補修するというレベルではなく、全体が更新された。程なくしてその答えは分かった。東南アジア諸国連合(ASEAN)関連首脳会議のための準備だった。整備が行き届いた大通りには、会議のポスターがずらりと掲示された。
「インドネシアの道路の...