初めましての方も、お久しぶりの方もいるかもしれません。私は「恋愛とジェンダー」を主なテーマにしている書き手で、以前は「清田隆之の恋バナ生活時評」というタイトルの連載を担当していました。
ありがたいことにその連載は、2023年6月、時事エッセー集「おしゃべりから始める私たちのジェンダー入門─暮らしとメディアのモヤモヤ『言語化』通信」(朝日出版社)として出版されました。そして今回、約1年にわたる充電期間を経て再び連載を担当させていただく運びとなりました。
さて、新しい連載のタイトルは「NOが言えない俺たち」です。ここでは主に「男性たちの傷つき体験」に着目しながら、“男らしさ”とか“男社会”と呼ばれるものの呪縛や問題点について考えていけたらと思っています。
近年、男性たちから悩み相談や身の上話を聞かせてもらう機会が増えています。2021年には「自慢話でも武勇伝でもない『一般男性』の話から見えた生きづらさと男らしさのこと」(扶桑社)という長いタイトルの本を出版したのですが、これは10人の一般男性、つまり異性愛者で、自分の性別にも違和感を持たず、心身ともにおおむね健康で、会社や学校といった組織...