周りの芸人仲間を見ていても、落語家という商売をしていると、お寺さんや御住職とのお付き合いというのは結構ある。これはどうしてなのかというと、一概には言えないが私が思うに、お客さんやファンがまだ少なく、会場費などが払えない若手の芸人に落語をやる場所を提供してくれるという、そんなお坊さんの優しさが第一。そして、総木造の建物が落語というものにマッチするからだと思う。
そして、御本堂で落語をさせていただくことが多いのだが、数十人というキャパシティーで、マイクを使わず地声で通る広さというのがとてもやりやすいし、お客さんも聞きやすい。御本堂は声がよく響き、客席に充てるスペースもちょうど良い広さでバランスが取れている。まるで数十人の前で落語をやるための場所である…というと大変に不謹慎(笑)なのだが、本当に落語や講談という演芸にはピッタシな建物なのだ。
そういうところから、私も入門したての頃から、先輩師匠方に連れて行ってもらったり、今ではご縁を持って落語会をやってもらったりして、懇意にしてくださるお寺さんは数多い。
そんな中で今週の私は、人生で初めてのとても貴重な経験をさせていただいた。なんとお寺さん...