ドイツで行われている平和教育って?

  •  たかまつなな(時事YouTuber、笑下村塾代表)

 ロシアのウクライナ侵攻が始まってから1年8カ月が過ぎた。イスラエルでは「戦争」が始まり、第三次世界大戦の引き金になるのではないかと緊張感が走っている。しかし日本では、戦争は二度と起こしてはならないと誰もが知りつつ、具体的にどのようにすれば良いのか分からない人が多い。これまでは戦争の悲惨な体験を聞き、平和を祈る教育が主流だった。だが戦後80年近くがたって直接的な記憶の伝承が困難となり、それだけで十分とは言えなくなった。昨年のウクライナ取材で聞いた人々の生の声をヒントに、私が提唱してきた「平和をつくる教育へのアップデート」が必要ではないだろうか。昨年秋、平和教育が進んでいる国の一つであるドイツの歴史の授業について取材した。この国でどのような平和教育が行われているのかを紹介したい。

 ▽歴史は現在の価値観の「ものさし」

 北部ニーダーザクセン州の中高一貫校で、高校の歴史と経済の授業を(取材当時の)4年前から担当している教師ミヒャエル・ブッシュ氏にお話を伺った。ブッシュ氏は、歴史の事実だけを教えるような授業にしないことが大切だと言う。

 「生徒たちに授業で考えてほしいのは、歴史の中の個人(民衆や権...

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