総務省が先週公表した10月の全国消費者物価指数は、生鮮食品を除く総合指数が前年同月比で2.9%上昇しました。伸び率は9月の2.8%を上回り、4カ月ぶりに拡大しました。
最大の要因は、政府による電気・ガス料金の負担軽減策の支援額が半減したことです。これによって、エネルギー価格が物価指数の前年比変化率を押し下げる効果(マイナス寄与)が大幅に縮小しました。さらに観光振興策「全国旅行支援」の開始から1年が経過し、宿泊料に関して前年比の押し下げ要因がなくなったことも影響しました。
一方、食料品や火災・地震保険料の上昇率は縮小しました。また、「ガソリン補助金」が再び拡充されて石油製品の価格高騰が抑えられたこと、NHK放送受信料が引き下げられたことなどにより、消費者物価上昇率の拡大幅は0.1ポイントと限定的になりました。
以上により、今回の統計は主に政府の政策的な特殊要因で押し上げられた性格が強く、消費者物価で見たインフレ率が当面、鈍化傾向にある状況に変わりはないと判断されます。
こうしたことから、11月以降は消費者物価指数の上昇率が再び縮小する可能性が高いと思います。特に、これまで最大の押し上げ...