埼玉の「虐待禁止条例」騒動

  •  尾木直樹
  •  虐待禁止条例改正案の撤回を表明する自民党埼玉県議団の田村琢実団長=10月10日、さいたま市
  •  虐待禁止条例改正案を賛成多数で可決した埼玉県議会の福祉保健医療委員会=10月6日、さいたま市

 今年10月のこと。埼玉県議会の最大会派である自民党県議団が提出した子どもへの「虐待禁止条例」の一部改正案が、常任委員会で可決されたにもかかわらず県民の猛反対とメディアでの大“炎上”に遭い、わずか1週間で撤回されるという異常事態が発生しました。

 この騒動は一体何だったのでしょうか。その背景について深掘りしたいと思います。

 ▽「子を残してごみ捨て」は「虐待」?

 改正案で特に注目を浴びたのは、小学3年生以下の子どもを自宅に残したまま保護者が外出するなどの「放置」行為を禁止するとした点です。4年生から6年生については努力義務とすることや、発見したら通告または通報の義務があることも盛り込まれたのですから一大事です。これではまるで、相互監視社会になってしまいます。

 では、「放置」の具体例を見てみましょう。

 「短時間でも子どもに留守番させる」「子どもだけで登下校させる」「子ども同士で公園で遊ばせる」「未成年の高校生に子どもを預けて買い物に出かける」「子どもだけ家に残し、ごみ捨てに行く」「子どもにお使いを頼む」(「子ども」は小3以下)

 これら全ての行為は、子どもの年齢や家庭の状況の違いはあっても、一...

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