クリスマスの「魔術」 善意の心で奇跡を

  •  茂木健一郎さん(撮影・徳丸篤史)
  •  バチカンのサンピエトロ広場に飾られたクリスマスツリー=12月9日(共同)
  •  チャールズ・ディケンズの名作『クリスマス・キャロル』
  •  フィンランドから成田空港に到着し、子どもと握手するサンタクロース=12月1日
  •  茂木健一郎さん(撮影・佐藤優樹)

 街を歩いていて、あちらこちらでクリスマスの飾りを目にするようになった。別名「善意の季節」とも言われるこの時期に、改めて昨今の世相を振り返りたい。

 日本では、クリスマスはすっかり文化として定着している。ツリーの前で写真を撮っている様子もしばしば見かける。よく言われるように、元旦には神社やお寺へ初詣し、教会で結婚式を挙げ、お葬式は仏教で、というような日本人の多様な文化は、宗教的な対立が時に紛争を巻き起こす現代においてはむしろ貴重なものなのかもしれない。

 クリスマスは「奇跡」が起こる時期だとされる。しかも、それは人の心の中に善意が生まれることによって成就するのである。

 チャールズ・ディケンズの名作『クリスマス・キャロル』では、お金のことばかり考えている主人公のスクルージが、過去・現在・未来を旅することで人生の真実を知り、心を入れ替えて親切な人に生まれ変わる。

 この傑作の圧倒的な影響力もあって、小説やドラマ、映画などさまざまなジャンルにおいて、クリスマスは人の心に奇跡が生まれる季節だという文法が定着している。仲たがいしている人たちが和解したり、困難な問題が解決したり、長年にわたって胸に秘めて...

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