第42回とっとり読書絵てがみ・感想文コンクール インタビュー(12) 多屋 光孫さん 絵本・紙芝居作家・挿絵画家

やりたいこと、自分らしく

 -多様性をテーマにした作品制作のきっかけは。

 このテーマは難しく、皆さんにもなじみがないため、構想から出版まで約3年の年月がかかりました。幼少期の体験が土台になっています。制作過程ではさまざまな葛藤や苦難もありましたが、汐文社から“多様性”をテーマにした作品を作りたいという話をいただき、出版に至りました。

 -作品に込めた思いやこだわりは。

 単なるトランスジェンダーの話ではなく、「自分とは違う部分を認め合う社会を大事にしよう」という思いを伝えたかったので、子どもたちの身近に起こる話題を主軸にしています。“恋愛感情”の要素を加えないことにもこだわりました。同性婚や恋愛描写が入ると、子どもの感覚に寄り添えないと思いました。

 LGBT総合研究所の調べによると、自分の性別に違和感を覚える人が10人に1人と少なからずいるようです。悩みを抱える子どもたちが絵本を読んだ感想を伝えてくれた時、自分の作品が世の中に良い流れを与えたんだなとうれしくなりました。

 -デビューは紙芝居でしたが、絵本を制作する上で気を付けていることは。

 紙芝居は演じ手と観客との対話が不可欠で、反応を直接感じられるので好きです。「共感のメディア」と言っても良いでしょう。対して、絵本は読み聞かせや読書など一対一でコミュニケーションを取ることができます。私が作る作品のテーマは大人っぽいので、子どもたちが理解しやすいように子どもの目線で描くようにしています。

 -コンクールにチャレンジする子どもたちへメッセージを。

 みんな違って、みんな良い! 自分と同じ考えや好みでなくても、やりたいことを自分らしくやればいい! という気持ちを込めて作った絵本です。皆さんも自分らしく、好きなように自由に挑戦してみてください。(おわり)

プロフィル

2023年IBBYバリアフリー児童図書ノミネート作品「めねぎのうえんのガ・ガ・ガーン!」(合同出版)のほか、多様性のある世の中の大切さを子どもたちに伝える作品を中心に手がけている。

【募集要項】
 ◆内容 課題図書を読み、絵てがみまたは感想文を書いて応募する。各部門1人1点
 ◆応募方法 所定の応募票に必要事項を記入して作品に添付し、〒682-8505、日本海新聞中部本社ビジネス支援課「読書コンクール」係へ郵送または持参する
 ◆締め切り 2024年1月19日(金)必着
※詳しくはこちらをご覧ください。

主  催 鳥取県学校図書館協議会
     新日本海新聞社
特別協賛 鳥取銀行

 

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