人口500人の小さな集落に住むおばあ5人が、大好きなももいろクローバーZをまねて踊っていたら、大みそかにあの横アリで共演することになった-。そんな兵庫県新温泉町の女性グループ「ももいろクロおばあZ」のシンデレラストーリーがネット上で話題となっている。初出場が決まったももクロ主催の「第7回ももいろ歌合戦」(31日、横浜アリーナ)を前に、今の思いを聞いてみた。
豪華出演者の中で“異色”の存在
おばあZは、新温泉町の居組集落に住む53~69歳の女性5人で結成。リーダーを務める西垣幸子さんが昨年5月、隣町の香美町で開かれたももクロ「祝典ツアー」のライブに感銘を受けたことがきっかけだ。
手作りの衣装とマスク、かつらを身にまとい、西垣さん以外の正体は謎に包んでいる。ただ愛称はあり、パープル担当は「さとみちゃん」、レッド担当は「れいちゃん」、イエロー担当は「ひでこちゃん」、ピンク担当(西垣さん)は「ゆきちゃん」、グリーン担当は「えりこちゃん」として活動している。
平均年齢は61歳だが、明るく快活なパフォーマンスで地域を盛り上げようとする姿やユニークなグループ名などが交流サイト(SNS)上で徐々に話題に。「モノノフ」と呼ばれるファンや、ももクロメンバーの高城れにさんから好意的な反応が寄せられ、全国放送のテレビ番組でも紹介されるほどになった。
快進撃を続ける中で、今月22日にももいろ歌合戦の出演者追加発表があり、まさかのおばあZの初出演が明らかとなった。
ももいろ歌合戦はももクロメンバーを進行役に、多数の豪華アーティストらが出場する恒例の年越しイベント。今年はさだまさしさん、笑福亭鶴瓶さん、松崎しげるさん、とにかく明るい安村さんらが出演予定。その中に、デビューして1年、まだ10回もステージに立ったことのない〝異色〟のおばあZも出演する。
不安抱えながらも全力で
ももいろ歌合戦を控えた26日には新温泉町役場を訪れ、西村銀三町長に出場を報告。これまでおばあたちの地元でのステージを見てきた西村町長は「青春を感じるパフォーマンスで町を元気にしてもらってありがたい。新たなスターとして頑張ってきてほしい」と期待を込めた。
一方のおばあたちは、まさかの事態に困惑気味だ。「緊張で今から胃が痛い…」「まだまだ夢見心地で、ぴんときていない」といった不安の声が漏れてきた。また、横浜アリーナの座席数が最大1万7千人に対し、町の人口は約1万2千人。「町の人口より観客の方が多い。そんなたくさんの人、見たことない」と笑う。
ただ「温かく応援してくれたモノノフさんのおかげ。こんなことになるなんでネットの力はすごい」と感謝しており、「これまでの活動も自分たちが楽しんでやってきた。歌合戦の本番も一生に一度の大舞台として、思いっきり楽しみたい」と覚悟を決めている。
現在の持ち歌は、ももクロ5人体制時代にリリースした人気曲「Z伝説~終わりなき革命~」と、激しいダンスが特徴の「Chai Maxx(チャイマックス)」の2曲しかない。歌合戦でのパフォーマンス内容は未定というが、本家のような全力のパフォーマンスに向けて準備を進めている。
第7回ももいろ歌合戦は31日午後4時から、インターネットテレビ「ABEMA」で無料生放送される。おばあたちが夢の大舞台でどんなパフォーマンスをするのか必見だ。一ファンとしては、曲に合わせておばあたちの愛称が1万7千人のモノノフにコールされる姿をぜひ見てみたい。
(黒阪友哉)