日本を代表する作曲家で、特撮映画「ゴジラ」のテーマ音楽でも知られる伊福部昭さん(1914~2006年)の遺族が、今春の生誕110年に向けて、鳥取市で「伊福部昭記念資料館(仮称)」の設立準備を進めている。古民家を改修して作曲机や楽器、文具など愛用品を備えた書斎を再現。「ゴジラ」テーマ曲原本など、自筆の楽譜をはじめとする貴重な音楽関連資料を保管する。6月1日にはゆかりの音楽家らを招いて記念演奏会を開く予定で、新たな聖地誕生に期待が高まる。
長女で陶芸家の伊福部玲さん(78)、孫の帥(かしら)さん(54)が計画した。5月31日が110回目の誕生日にあたり、翌日を開館日に決めた。今年は1954年にゴジラの第1作が上映されて70年の節目の年でもある。初代館長には親交のあったバイオリン界の巨匠、小林武史さん(93)が就任する。
鳥取市河内集落の土蔵付き古民家を買い取り、22年秋から改修工事に着手した。資料庫に入れる遺品は東京や神奈川など複数の拠点から順次移動させており、作曲の過程が分かる自筆のメモや完成した楽譜など音楽関連資料のほか、書籍や手紙、愛用した日用品など数万点に上る。開館後はイベントの企画や収蔵品の一般公開も検討する。
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