子どもたちへの伝承を応援 コクヨMVPが“段ボール麒麟獅子”のキット開発

 事務用品大手コクヨの国内生産拠点「コクヨMVP」(鳥取市)が、鳥取県東部を中心に伝わる麒麟(きりん)獅子の獅子頭を、段ボールで製作するためのキットを開発した。数種類のパーツを組み立てるだけで獅子頭が完成し、かぶることもできる。同市内では、地域学習の教材として使う小学校もあり、日本遺産として認定されている麒麟獅子の子どもたちへの伝承に一役買いそうだ。

設計など半年かけ

 同社は、紙製のフラットファイルやスクラップブックのほか、水彩絵の具のような彩色のクレヨン「透明くれよん」など、多様な商品を製造している。

 “段ボール麒麟獅子”のキットは、東京のコクヨ本社で知育玩具や絵本などを手がける「学びソリューション事業部」の協力を受けて開発した。コクヨMVPは同事業部が提供する画材の生産拠点となっている。

 同事業部のスタッフが、パーツの設計などを行い、半年の開発期間を経てキットが完成。昨年9月9、10の両日に同市西町3丁目のわらべ館で開かれたイベントでお披露目された。キットを使った段ボール麒麟獅子製作のワークショップには、約760人の親子連れが参加。完成した獅子頭をクレヨンで彩るなどして楽しんだ。

親しみ持てた

 段ボール麒麟獅子は、市内の学校でも活用されている。城北小では10月、地域学習の一環で、3年生が同キットを使って麒麟獅子の獅子頭作りに挑戦した。

 県東部に伝わる麒麟獅子の頭部のデザインが、地域ごとで違うことに着目した児童が「自分たちも獅子頭を作ってみたい」と発案。小谷千春学年主任が、わらべ館であったワークショップに参加し、同校でのワークショップも依頼したという。

 依頼を受けた同社は、学年全員分のキットを同校に寄贈。児童らは製作した頭に同社のクレヨンで色を塗り、自分だけの麒麟獅子を完成させた。小谷主任は「キットも作りやすく、とてもありがたかった。自分たちで製作することで麒麟獅子への親しみが湧き、麒麟獅子が地元独自のものだと実感できた」と話した。

 キットの開発とワークショップはあくまで同社の地域貢献活動で、現在、キットの販売は想定していないという。同社人材開発グループの白井淳グループリーダーは「地域とのつながりができて良かった。今後もイベントなどでキットを活用し、麒麟獅子が子どもたちに親しまれるための手助けをしたい」と話した。

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