明治前半に盛んに生産された「渋谷茶」を復活させるプロジェクトが動き出した。東京・渋谷での茶作りは明治半ば以降衰退したが、飲料メーカーの伊藤園が2019年、区内の鍋島松濤公園で茶の木を発見。同社と外食企業ゼットン、都市型農園を展開するプランティオ、渋谷区観光協会が手を組み、新たな観光資源に育てようとしている。
観光協会が、かつて親しまれた「渋谷茶」の名称を商標登録し、伊藤園が苗木を育成。茶葉の土産や茶摘み体験、茶を使った飲食メニューなど、さまざまな切り口での活用を検討しているという。
明治政府が大名屋敷跡で茶や桑の栽培を奨励したのに伴い、渋谷から代々木、原宿などにかけ、多くの茶畑が広がった。JR渋谷駅前のスクランブル交差点の辺りにはかつて、日本茶専門店「梅原園」が大きな店を構えていた。
プランティオの芹沢孝悦最高経営責任者(CEO)は「渋谷には海外からも多くの人がやってくる。渋谷茶が、体験型の楽しみを生みだすといい」と話している。
プロジェクト開始を記念し、渋谷で茶を育てたい団体や農園への苗木の無償配布を実施。詳細は「渋谷茶」の公式サイトで確認できる。