【藤岡みなみ 異文化探検隊】釣りは世界との「出会い直し」 パックで買う魚をこの手で【最終回】

  •  藤岡みなみ
  •  釣りざおを出しているだけでうれしい=筆者提供
  •  魚のような雲だった=筆者提供

 釣り人になりたい。釣りは、私にとってまだ異文化だ。やったことがないわけではなく、釣り堀や旅先での釣りは何度か体験したことがある。しかし、まだ扉が開いた感じはない。自分で道具を持ち、基本的な知識を得て、休日に釣りに行くという選択肢がある状態になってみたいと思った。

 釣りの世界に足を踏み入れる気になったのは、数年前に畑仕事の楽しさを知ったからかもしれない。全く違うけれど、この二つはどこかで似ていると思う。釣りと畑仕事、それはどちらも世界と出会い直す行為なのではないか。スーパーで見かける野菜を自分の手で作り出す。受粉後ぐんぐん大きくなるキュウリを見て、風や虫や太陽の力を知る。

 教科書の知識ではなく手応えのある記憶として、自分のものになった。たいていのことを分かった気になっている大人だからこそ、技術やサービスに支えられている便利な現代だからこそ、世界を自分で発見する喜びがひとしおなのだと思う。いつもは切り身でパックに入っている魚をこの手で釣り上げたとき、私は本当の意味で初めてその魚を知るはずだ。

 分からないことがたくさんある。釣りざおのリールの部分はどんな仕組みになっているのか。仕掛けや餌は...

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