長崎県・壱岐島沖で医療搬送用ヘリコプターが事故を起こし、患者とその家族、同乗していた医師の3人が命を落とした。唐津海上保安部が業務上過失致死傷などの疑いで運航会社を家宅捜索し、事故原因を調べている。
事故があったヘリは、行政が配備している「ドクターヘリ」とは異なり、民間病院の独自事業として運航会社に委託し運用されていたものだ。ただ、「医療搬送用ヘリでの事故」という点では、行政か民間かに違いはないだろう。
そして、誰もがその必要性を強く感じている急患搬送用ヘリの事故は、多くの人にショックを与えた。とくにドラマや映画の『コード・ブルー ドクターヘリ緊急救命』の影響もあり、ドクターヘリや民間ヘリに乗り込んで治療にあたるフライトドクターやフライトナースになりたいと夢見ていた若い人は、動揺が大きかったであろう。
離島が多く存在する日本では、空路による急患の搬送は不可欠だ。私がいま働く北海道は離島があるだけではなく土地が広大なので、全国で最多の4機のドクターヘリが配備されている。それぞれには毎日のように出動要請が入り、大ざっぱに言って1年の出動回数は各機200~400回にも上る。私自身は搭乗した...