大阪市の人口島・夢洲(ゆめしま)を舞台にした、大阪・関西万博が13日に開幕する。「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマに、158の国と地域が集結。10月13日までの半年間の祭典で、最先端技術や各地の歴史、文化など多様な価値観に触れることができる。鳥取県からもアクセスの良い大阪で、55年ぶりに開催される万博を本紙記者が紹介する。
万博会場の人口島・夢洲への移動で多くの人が利用するのは、会場に直結する大阪メトロ中央線だろう。会場につながる唯一の鉄道路線で、JR大阪駅や新大阪駅から大阪メトロ御堂筋線、中央線を経由すれば、今年1月に開業した会場隣接の「夢洲駅」まで約30~40分で到着する。
夢洲駅から地上に出ると、目の前に入場門の「東ゲート」が現れる。ゲート周辺には参加国の国旗がはためき、ゲートには「EXPO 2025」が大きく示され、“万博気分”が盛り上がる。


甲子園球場40個分の約155万平方メートルを囲うように設置された、会場シンボルの「大屋根リング」がひときわ目を引く。日本の伝統的な工法「貫(ぬき)接合」と、現在の耐震基準を満たす施工方法を組み合わせた。リング上部には、外周と内周の歩行エリアがあり、上空から会場全体を見渡すことができる。大阪にはいくつも展望スポットはあるが、これまでと違った大阪の街並みを眺望できる。

参加する国、地域の工夫を凝らしたパビリオンは、「万博の華」と称される。米国パビリオンは、映像を駆使してテクノロジーや宇宙開発、文化などを紹介。映像には米大リーグ・ドジャースの大谷翔平選手も登場する。また、1970年の大阪万博に続き「月の石」が展示されている。

芸術の都・フランスのパビリオンは、外観を劇場のカーテンのようなベールで覆い、「ルイ・ヴィトン」「ディオール」など高級ブランドが展示に盛り込まれた。日本の家紋に着想を得たと言われる、ルイ・ヴィトン伝統の模様「モノグラム」が施されたトランクケースを多数組み合わせた展示は圧巻だ。

とにかく広大な万博会場を効率的に回るには、事前の下調べが欠かせない。開幕すれば待ち時間が出るパビリオンもあるだろう。かくいう筆者も、9日のメディアデーだけでは回り切れなかった。近くの書店でも手に入る公式ガイドブックや、バーチャル空間で万博会場を体験できるアプリでイメージトレーニングして出かけてほしい。(足立篤史)
【インタビュー】
特別感が集客のチャンス
大阪観光局 溝畑 宏理事長

大阪・関西万博の開催期間中は、国内外から2800万人を超える来場者が想定されている。大阪観光局の溝畑宏理事長が日本海新聞の単独インタビューに応じ、万博を契機にした地方への誘客や、閉幕後の「ポスト万博」を見据えた観光戦略の必要性を訴えた。
-現在の大阪の様子は。
「万博開催以前から、欧米豪を中心にインバウンド(訪日客)が急増している。開幕が近づき、パビリオンやメディア関係者が増えてきた。客の大半は夜に大阪の街を散策するなり、グルメ、ショッピングを楽しむはずなので、ナイトタイムエコノミーを充実させないといけない」
-周辺地域への波及効果は。
「2030年を目標にアジアナンバーワン国際観光文化都市をつくるのが、大阪観光局の大きなミッション。そのためのポイントは、量から質への富裕層対策、持続可能な開発目標(SDGs)、多様性は絶対条件。大阪は観光の拠点として、温泉や健康長寿、日本の伝統文化など、観光ポテンシャルの高いテーマごとに送客するルートづくりを進めている」
-鳥取県の誘客戦略は。
「送客には物語が必要。鳥取の魅力をブランディングして、戦略をしっかり持たないといけない。『なぜ今鳥取に行くんですか』という時にテーマが必要。何にお得感があって、何に感動するのか。オンリーワン、特別感がある何かをつくり上げたら、一気に集客のチャンスになる。世界に選ばれる鳥取県になるよう、マーケティング評価にも取り組んでもらい、送客ルートを強固にしたい」