【茂木健一郎のニュース探求】なぎさドライブウェイ、輪島塗、トラツグミ… 能登半島地震の被災地を思う

  •  茂木健一郎さん(撮影・徳丸篤史)
  •  千里浜なぎさドライブウェイ=2021年4月、石川県宝達志水町
  •  片足で立つトラツグミ=2014年9月、東京・井の頭自然文化園で撮影
  •  石川県輪島市の隆起した海岸=24年1月4日(輪島塗の塗師・赤木明登さんのフェイスブックから)
  •  白煙が立ち上る石川県輪島市の火災現場=24年1月2日朝(共同通信社機から)

 金沢市の近くの大学に友人がいて、一時期よく通った。古都金沢から車で能登半島を北上し、途中で砂浜を走った。「千里浜(ちりはま)なぎさドライブウェイ」である。

 向かう道すがら、友人が「海岸をそのまま走れるんだよ」と説明してくれても、正直なんのことか分からなかった。後で知ったが、なぎさドライブウェイは石川県羽咋(はくい)市と宝達志水(ほうだつしみず)町にまたがり、全長約8キロメートル。日本で唯一、波打ち際の砂浜を一般の乗用車やバスが通行できる観光道路ということだった。

 何しろ日本で唯一だから当然、初体験。概念として私の脳の中になかったのも仕方がない。金沢から一般道を通り、左にハンドルを切って、目の前に現れた広々とした砂浜の上を友人の車が走り出した時には、なんとも言えない驚きと開放感があった。

 なぎさドライブウェイは、能登半島の魅力を象徴する場所の一つだと思う。海と、空と、爽やかな風と。車を止めて砂浜に出ると、千鳥がトコトコと波打ち際を歩いて、やがて飛び立った。自分もまた、自然と一体になったような気がした。

 能登半島には取材などで何度も訪れた。輪島塗の漆器を作っている赤木明登(あかぎ・あきと...

残り 1687 文字
このページは会員限定コンテンツです。
会員登録すると続きをご覧いただけます。
無料会員に登録する
会員プランを見る
会員登録済みの方
この機能はプレミアム会員限定です。
クリップした記事でチェック!
あなただけのクリップした記事が作れます。
プレミアム会員に登録する ログインの方はこちら

トップニュース

同じカテゴリーの記事