1944年3月7日に国の天然記念物に指定された岩美町唐川の「唐川のカキツバタ群落」が、日照不足やシカの食害などで絶滅の危機にある。指定80年を迎え、町は美しい景観を取り戻そうと、湿原を囲む木の伐採など対策に乗り出した。有識者らと連携して数年かけて土壌整備を行い、群落の再生を目指す。
カキツバタは岩美町の「町の花」。唐川には標高400メートルの谷間に約1・3ヘクタール(カキツバタ群落はうち0・6ヘクタール)の湿原が広がり、県のレッドデータに載っているサギソウやトキソウなども含めて約100種類の湿原植物が自生する。
しかし、鳥取大農学部の日置佳之特任教授(66)によると、2023年に開花したカキツバタは約150本で、21年の約1800本から大幅に減少。開花が減った要因として、日照不足▽シカによる食害▽地中の水が深く下がり、花に行き届かない水不足-の三つが考えられるという。