観光面でのカーボンニュートラルの実現を目指し、松江城(松江市)の堀を巡る堀川遊覧船が、4月1日から一部電動化される。42隻あるうちの2隻でガソリンエンジンの船外機を電動船外機に置き換える。騒音や振動が低減され、乗客は水鳥の鳴き声などを楽しむことができるようになる。
脱炭素と国際観光振興を目指す松江市がホンダ(東京都)に打診し、同社などが小型船舶用の電動船外機を開発。2023年8月から同船を使って実証実験を行い、営業運転にこぎ着けた。
船を運航する市観光振興公社は、海の植物による二酸化炭素(CO2)吸収量を取引するJブルークレジットを活用し、CO2排出実質ゼロの取り組みも開始した。同市沖の日本海の藻場で同クレジットを認証取得した中国電力(広島市)から購入。電動船外機の充電などで発生するCO2排出相当量を同クレジットで相殺する。
13日に松江市黒田町の乗船場であった引き渡し式で、ホンダマリン事業本部の福田蔵磨部長が、上定昭仁市長と同公社の能海広明理事長に鍵の模造品を手渡した。上定市長は「電動化で乗船中の楽しみが増し、エコツアーにもつながる。国際文化観光都市・松江のシンボルの一つとして観光振興の起爆剤とするとともに、市民にもあらためて遊覧船の魅力を感じていただきたい」と話した。