専門家とSNSは相性がよいのか悪いのか。深く考えさせられるできごとがあった。高裁判事が、殺人事件をめぐるX(当時はツイッター)の発言で訴追され、国会の裁判官弾劾裁判所で、法曹資格を失う「罷免」の判決が下されたのだ。
判決要旨は、殺人事件を巡る大半の投稿について「積極的に遺族を傷つける意図はなかったが、結果として何度も遺族を傷つけたと評価できるから、裁判官に望まれる品位を辱める『非行』に該当する」とあった。ただ、それほどのひどい内容であったかについてはさまざまな意見があり、識者の見解も一致していない。
ここで考えるべきは、次の2点だろう。まず、悪意はなくても読んだ人が傷つけば問題なのか、ということだ。これに関してはケース・バイ・ケースと言わざるをえないが、参考までにパワハラの場合、厚労省の検討会報告書では、認定には被害者の感じ方に加え、「一定の客観性」が必要と指摘されている。
またもうひとつ、専門家はSNS投稿に対してどれくらいの責任を持つべきか、という問題もある。一般の人たちは専門家のSNS投稿から手軽に多くの情報や知識を得ることができる。とくに平易な語り口や面白い話題さがしが得意な...