目の病気や子育てに御利益があるとされ、「新井薬師」の通称で古くから親しまれてきた東京都中野区の新井薬師梅照院。門前町の風情が漂う一帯を散策した。(共同通信=鈴木賢)
西武新宿線の新井薬師前駅南口を出て西へ。青果、精肉、生活雑貨などを扱う店が立ち並ぶ商店街を5分ほど歩くと新井薬師に着く。山門前で一礼する参拝者もしばしば見られ、信仰が息づいていることを実感する。
寺院の始まりは1586年という。参道には本堂の焼失後、1779年に再建を記念して建てられたお地蔵さんがたたずむ。本堂のご本尊は薬師如来と如意輪観音。境内に掲示されていた参拝の作法に従って一礼し、手を合わせて「オン コロコロ―」「オン バラダ―」と真言を唱えた。
新井薬師の北側には新井薬師公園が広がる。桜の名所として親しまれ、訪れた子どもたちが日差しを浴びて元気に駆け回っていた。
来た道を戻り、童謡「たきび」にゆかりのある上高田地区に向かう。「かきねの かきねの まがりかど」のフレーズが頭に浮かぶ。立派なケヤキの木がそびえ、竹垣が美しい屋敷の一角に区が設置した案内板があり、「『たきび』のうた発祥の地」と記されている。
北原白秋に師...