境港市出身の俳優、司葉子さんのデビュー70周年を記念した講演会が8月30日、境港市上道町の市民交流センターで開かれ、娯楽映画研究家の佐藤利明さん(61)が「花の流れ~永遠のクールビューティー」と題し、司さんの魅力を語った。
佐藤さんは、昭和のエンターテインメントの魅力をさまざまなメディアで発信している。講演では、2008年12月に司さんと対談した映像を交え、昭和30~40年代の作品を中心に、司さんの俳優人生を振り返った。
デビュー作「君死に給(たも)うことなかれ」で、雑誌のモデルから主役の相手役に抜てきされ、東宝の看板俳優になったことについて、「初の映画で堂々たる演技を見せ、司さんがその後の映画界のスター誕生の流れを変えた」と指摘した。
また、「小津安二郎監督によって原節子に次ぐクールビューティーとして見いだされた」とし、小津監督の「秋日和」、キャリアウーマンを演じた鈴木英夫監督の「その場所に女ありて」を紹介。さらに成瀬巳喜男監督の「ひき逃げ」「乱れ雲」で転機を迎え、お嬢さんスターから大人の俳優に変貌した歩みを解説し、「多彩な映画に出演し、常にトップの女優であり続けた」と類例のないキャリアを称賛した。
講演会は、さかいみなとアーカイブス(松尾有平代表)が顕彰事業として企画し、映画ファンら約50人が聴講。「秋日和」の上映も行われた。(久保田恭子)