子どもにとって自然に親しむのは大切なこと。「虫」は代表的な興味の対象だが、中でも、蝶(が)や蛾(ちょう)、甲虫、そしてトンボなどで面白さが違う。
夏休みも終わり、新学期が始まって子どもたちはそれぞれの学びを深めていることだろう。小中学生の頃、埼玉県で暮らしていた私にとって、夏休み明けは忙しかった。野外で調べた蝶の生態などをまとめ、県展覧会での研究発表の準備をしていたからである。特に優秀と認められると、日本学生科学賞など全国レベルの大会に県代表として推薦された。
今振り返ると、たくさんの種類の虫がいる中で、なぜ蝶に引かれたのかと思う。私にとっては当たり前のことだったけれども、他の虫好きの人と話していると、それぞれ事情が異なるようだ。
解剖学者の養老孟司先生は甲虫がお好きで、最近はゾウムシの研究をされている。お目にかかるたびに、大体半分以上の時間は虫の話をしている。養老先生のお話を聞いていると、ゾウムシの魅力は、その「かたち」にあるようだ。体のいろいろな所にある構造の細かい差異が、面白くて仕方がないらしい。
思い返すと、私は養老先生と少し違っていた。私は蝶の行動に興味があったようで、採集...