【相談】
私は、仕事時間以外はほとんどゲームや小説、漫画、映画、海外ドラマなどのエンターテインメント作品を鑑賞して過ごします。特にファンタジー小説が好きで、気付くと何時間も読んでいることがよくあります。親や恋人、友人らは「現実逃避はほどほどにして、将来に向けて準備をしなよ」などと言います。私もそう思いますが、やめられません。「虚構の世界」に浸っていると心が落ち着き、充実した気分になります。養老先生は、日本ゲーム大賞の選考委員長や京都国際マンガミュージアムの館長を務められました。そんな養老先生から見て架空の物語、フィクションはなぜ人をとりこにするのか、なぜ世の中にこんなにあふれているのか、ご意見をお聞かせください。(29歳 会社員 男性 京都市)
【養老孟司先生の回答】
私もエンタメ系のフィクションは好きです。ゲームもやりますし、ファンタジー小説も読みます。最近はインターネット配信の海外ドラマをよく見ています。なぜそれが「現実逃避」になるんでしょうか。私は全然そう思わない。むしろ現代の「現実そのもの」だと思います。
▽現実とは
「バカの壁」(新潮社)にも書きましたが、現実とは人によって...